独立行政法人 労働者健康安全機構 秋田労災病院

秋田労災病院通信

秋田労災病院通信 No.162 平成29年7月発行

健康寿命とロコモティブシンドローム

 

整形外科部長  加茂 啓志

 

 健康寿命とは、認知症や心身の異常などのため日常的に介護のなどのお世話にならず、自立した健康な生活ができる期間のことです。

平均寿命はどんどん延びて超高齢社会を迎えていますが、健康寿命を延ばすことは、個人の生活の質の低下を防ぐ観点からも、社会的負担を軽減する観点からも非常に重要です。

平均寿命と健康寿命の差が日常生活に制限のある「不健康な期間」となりますが、実は平均寿命と健康寿命の差は徐々に広がってきています。

 要支援・要介護になった原因として、脳卒中、認知症などがありますが、最も多いのが運動器の障害です(図1)。

 




 運動器の障害では、最近、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」が注目されています。

これは、「運動器の障害のために自立度が低下し、介護が必要となる危険性の高い状態」、を指します。

「ロコモ」を予防することは、健康寿命を延ばすために非常に重要と考えられています。骨粗鬆症、変形性関節症、脊柱管狭窄症、サルコペニアなど整形外科の病気は「ロコモ」になりやすく、歩行障害、移動能力の低下から寝たきりにつながります (2)。

 

 

 

したがって、骨粗鬆症が気になる方、股関節、膝関節や腰の痛み、足のしびれなどの症状のある方は早めに整形外科を受診し、相談してください