副院長 千葉 光穂
平成27年の高齢者人口は3,342万人、高齢者率は全国26.7%、秋田県は33.5%で全国1位です。現在は超高齢社会であり、当院の患者さんの7割が65歳以上です。65歳以上の高齢者の人口が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と呼びます。日本では1970年代に「高齢化社会」、1995年に「高齢社会」、2006年には「超高齢社会」になりました。平均寿命は、男性80.5歳、女性86.8歳、健康寿命は男性70.4歳、女性73.6歳で、寿命が運動器耐用年数を上回っています。
高齢社会の医学・医療に求められるものとして、死亡1位のがん対策や200万人以上の認知症対策は大切でありますが、要介護・要支援の25%を占める運動器疾患対策(骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア(筋量減少症))も重要です。
骨粗鬆症は、骨が減ってスカスカになる病気です。骨強度が低下して骨折の危険性が増強した状態です。50~60代で椎体骨折、70~80代では転倒により大腿骨頸部骨折を生じます。
転倒予防に関しては、下肢筋力、バランス改善で2割、太極拳で5割、家屋の改善で3割が予防できるといわれています。持久力運動よりは抵抗運動や柔軟運動で効果があるようです。また背筋力運動やフラミンゴ体操、スクワットもお勧めです。
骨粗鬆症の治療薬も色々ありますが、転倒予防に効果があるといわれるビタミンD製剤、閉経後早期には選択的エストロゲン受容体調整剤があります。ビスフォスフォネート製剤、抗RANKL抗体薬や副甲状腺ホルモン薬も使用されています。