独立行政法人 労働者健康安全機構 秋田労災病院

秋田労災病院通信

秋田労災病院通信 No.177 平成30年10月発行

「超高齢社会と骨粗鬆症」

 

 

   副院長  千葉 光穂 
   

 平成27年の高齢者人口は3,342万人、高齢者率は全国26.7%、秋田県は33.5%で全国1位です。現在は超高齢社会であり、当院の患者さんの7割が65歳以上です。65歳以上の高齢者の人口が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と呼びます。日本では1970年代に「高齢化社会」、1995年に「高齢社会」、2006年には「超高齢社会」になりました。平均寿命は、男性80.5歳、女性86.8歳、健康寿命は男性70.4歳、女性73.6歳で、寿命が運動器耐用年数を上回っています。

 

 高齢社会の医学・医療に求められるものとして、死亡1位のがん対策や200万人以上の認知症対策は大切でありますが、要介護・要支援の25%を占める運動器疾患対策(骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア(筋量減少症))も重要です。

 

 骨粗鬆症は、骨が減ってスカスカになる病気です。骨強度が低下して骨折の危険性が増強した状態です。5060代で椎体骨折、7080代では転倒により大腿骨頸部骨折を生じます。

 

 転倒予防に関しては、下肢筋力、バランス改善で2割、太極拳で5割、家屋の改善で3割が予防できるといわれています。持久力運動よりは抵抗運動や柔軟運動で効果があるようです。また背筋力運動やフラミンゴ体操、スクワットもお勧めです。

 

 骨粗鬆症の治療薬も色々ありますが、転倒予防に効果があるといわれるビタミンD製剤、閉経後早期には選択的エストロゲン受容体調整剤があります。ビスフォスフォネート製剤、抗RANKL抗体薬や副甲状腺ホルモン薬も使用されています。

 
 高齢化率も
2050年には50%を超えると予想され、自分の健康は自分で守ることが益々必要になると思います。



 

 

 

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