独立行政法人 労働者健康安全機構 秋田労災病院

秋田労災病院通信

秋田労災病院通信 No.170 平成30年3月発行

歯の健康は豊かな人生を過ごすための基礎

 

 

    歯科口腔外科 医師 石田 昂
   

 

 近年、日本では「80歳になっても20本以上自分の歯を保ち、健やかで楽しい生活を過ごそう」という8020(ハチマル・ニイマル)運動が提唱され、推進されています。また、歯の健康を保つことは、単に食物を咀嚼するだけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるものであります。平成8年より厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係に関する研究」が実施され、高齢者を対象とした統計分析等から、歯の喪失が少なく、よく噛めている者はQOLおよび活動性が高く、運動・視聴覚機能に優れていることがわかっています。また、要介護者を対象とした調査においても、口腔衛生状態の改善、咀嚼能力の改善が誤嚥性肺炎の減少やADLの改善に有効であることが示されています。 

 現在、平成28年歯科疾患実態調査によると、8020達成者は51.2%であり、平成23年の調査結果40.2%と比較すると増加しています。また、1次医療機関を中心として虫歯や歯周病の検診や予防治療を積極的に取り組まれており、虫歯や歯周病等の歯科疾患は明らかに減少かつ軽症化の傾向にあります。

 当科では秋田大学医学部附属病院歯科口腔外科と安定した病診連携体制を確立させ、一般診療はもちろん、2次医療機関として全身疾患を有する患者さんや障害者のために、入院下での歯科治療、全身疾患の治療上支障となる口腔疾患や全身疾患に関連する口腔内症状の発見・治療および口腔ケア指導によるQOL向上への支援に尽力しています。

 まずは、歯の健康や口腔関連のお悩みがある方はお気軽に当院歯科口腔外科へご相談ください。