独立行政法人 労働者健康安全機構 秋田労災病院

ヘルニコアについて

腰椎椎間板ヘルニアの治療「ヘルニコアについて」

ヘルニコア注入療法、メスを入れない腰椎椎間板ヘルニア治療です

ヘルニコア注入療法は、慢性腰痛や坐骨神経痛に悩んでおられる患者さんの中で手術治療に踏み切れない方に推奨されます。ヘルニアを起こしている髄核には保水成分が豊富で、有効成分のコンドリアーゼが髄核内の保水成分を分解します。結果として神経への圧迫が改善し、痛みや痺れなどの症状が軽減します。当院では、手術経験も豊富な日本脊椎脊髄病学会指導医が治療を担当いたします。1泊程度の入院が必要となりますが、MRI、椎間板造影やブロックを併用して責任椎間板を正確に確認後に、ヘルニコア注入療法を行っております。

腰椎椎間板内酵素注入治療(ヘルニコアⓇ)

腰椎椎間板ヘルニアについて

椎間板は背骨の骨と骨の間にあり、体重を支えるクッションの役割を担っています。その外側を構成する線維輪とその中身にあたる髄核(ゼリーのような物質)で構成されています。腰の椎間板の中身である髄核が線維輪を破って外にはみ出し、神経を圧迫した状態が椎間板ヘルニアです。下肢のしびれや痛み、麻痺(力が入らない)、排尿排便障害などの症状が生じます。治療法には、安静、くすり(薬物療法)、装具療法、神経ブロック、リハビリテーションなどの保存療法とヘルニアを摘出する手術療法があります。

腰椎椎間板内酵素注入治療(ヘルニコアⓇ)について

新しい保存療法(保存と手術の中間に位置する治療法)の一つとして椎間板内酵素注入治療があります。 注射で飛び出した髄核を小さくして神経への圧迫を軽減する新しい治療法で、一回注射をするだけという侵襲の小さい治療法です。

「ヘルニコア椎間板注用1.25単位」にはコンドリアーゼという酵素が含まれており、椎間板内に直接注射するとグルコサミノグリカンを特異的に分解して椎間板内圧を低下させ、ヘルニアによる神経根圧迫を軽減し症状を(下肢痛、腰痛等)を改善します。全身麻痺の必要もなく、手術と比較して患者様への小さい利点があります。

適応するケース

腰椎椎間板ヘルニアに対する薬物治療やブロック治療などの保存治療で十分な効果が得られない患者様。

ヘルニコアⓇ注入投与後について

入院日に注射をします。
手術室でレントゲン装置を見ながら、ヘルニアが出ている腰椎椎間板に針を刺し、椎間板内に薬剤を注入します。 日帰り治療も可能ですが、当院では安全を確認するために1泊2日の入院を推奨しています。

本剤は再投与できません
「ヘルニコア」は一生に一度のみの投与となります。患者様へ投与を行った旨を記録する「ヘルニコア治療通知カード」を発行します。脊椎関連疾患で他の医療機関を受診する際には「ヘルニコア治療通知カード」を医師へ提示してください。

投与後の運動、日常生活の注意点など

治療に伴う合併症について

薬によるショック・アナフィラキシー等が発現する可能性があります。投与後の入院療養中に「皮膚のかゆみ」、「じんま疹」、「声のかすれ」、「のどのかゆみ」、「息苦しさ」、「どうき」などの症状が見られたら、直ちに医師や看護師をお呼びください。また、腰痛、下肢痛、発疹、発熱、頭痛、などが副作用として報告されています。投与後一時的に腰に重苦しいなどの違和感が生じる場合があります。針で注射を行うため神経や血管の損傷、感染、血種などが起こることがあります。腰痛や下肢症状が十分に軽減されず外科治療が必要となる場合もあります。

上記以外にも予期せぬ事態が発生する場合がありますが、当院の医師、病棟スタッフ一同で適切な対処をさせていただきます。